スタートアップ×ブライダル──ファイナンスを武器に変革を目指すTAIANの戦略

株式会社TAIAN様に、A Tech Ventures株式会社 代表取締役 竹居邦彦が提供する『攻めのファイナンス講座』を受けていただきました。

この度、株式会社TAIAN 代表取締役 CEO 村田磨理子様にインタビューを受けていただきました。

1. 株式会社TAIAN

2020年6月創業。「アツさとあたたかさで溢れる社会を実現する」というビジョンのもと、ブライダル業界においてイノベーションを推進している企業です。主力事業として、All in One婚礼システム「Oiwaii(オイワイー)」を展開しており、結婚式や披露宴の計画・運営を効率化するための統合的なソリューションを提供しています。このシステムは、業界特有のニーズに対応し、ブライダル関連企業の業務効率化とサービスの質向上を実現しています。今後も、IT技術と業界特化型ソリューションを融合させ、祝い事を通じて社会とつながる意義を伝えようと取り組まれています。

株式会社TAIAN Webサイトより引用

2. 攻めのファイナンス講座を受講した理由


—- 今回『攻めのファイナンス講座』を受けられることを決められた動機を教えてください。

ファイナンスに関する必要な知識を効率よく学びたいというのが、一番の動機でした。どこを重点的に勉強すればよいのかを熟知している方に聞くことで、効率的に学ぶことができると考えたからです。

—- 今回、村田様お一人ではなく、経営メンバー4人で学ぶ選択をされた理由についても教えてください。

理由は大きく3つあります。1つ目は、ともに成長したいという感情的な思いです。2つ目は、学びを共有することでチームビルディングに役立つと考えたからです。3つ目は、経営に携わるメンバー全員のファイナンス知識のレベルを一定の水準に揃えたかったからです。

3. 講座を受講して得られた効果


—- 4人で受けたことによる効果はありましたか。

チームワークが一層強固になったと感じています。課題図書として提示された本が多かったため、メンバー間で担当を決め、読み終わった後に内容をシェアする仕組みを取り入れました。このシェアする過程を通じて、メンバー間の連携が深まり、チームワークが強化されたと実感しています。

—- 講義の他にも課題やワークがありましたが、それについてのご感想を教えてください。

正直なところ「もっと時間をかけたかった」と感じています。もう少し時間がとれれば、課題で行った調査結果をより深く考察し、自分の考えに具体的に落とし込むことが出来たと思います。

4. 講座の内容と学びの活用


—- 今回の講義を受けた後、日々の経営に関する行動や考え方で最も変わった点はどこでしょうか?

日々の経営において最も変わった点は、経営会議における戦略議論の質が大きく向上したことです。特に、他社のビジネスモデルの強みを共有する機会が増えたことで、議論の共通言語が一段階レベルアップしたと実感しています。

さらに、個人としては意識的に本を読む習慣が身についたことも大きな収穫です。創業当初は時間に余裕があり読書をする機会がありましたが、最近は忙しさからその時間を確保できていませんでした。今回の取り組みをきっかけに読書の習慣が復活したことは、良い変化だと感じています。

—- 講座で行ったビジネスモデルの分析はどのように役立っていますか?

これまで、競合他社や業界構造が似ている会社の分析はある程度行ってきましたが、今回、自社の事業とは直接関連のない企業について学ぶ機会を得たことで、評価が高い企業のビジネスモデルやオペレーションの優れた点を知ることができました。その結果、ビジネスモデルを見極める力や、世界を俯瞰して捉える視点が向上したと感じています。

新規事業を立ち上げている中で、他社のビジネスモデル研究が早速これらの事業のアイディアに活用されており、ビジネスモデルの分析力が深まった成果を実感しています。

—- その他に、何か変化はありましたか?

副次的な効果として、組織が活性化した点が挙げられます。
今回提示された課題図書をほぼ読み切ったメンバーが一人おり、そのメンバーに「経営戦略を主体的に担っていく」という意欲が芽生えました。もともとは異なる領域を担当しており、その実務からなかなか離れられない状況でしたが、今回の取り組みを通じて役職を超えたリーダーシップが育まれたと感じています。また、その領域を離れるという決断をしたことで、新たなリーダー候補が台頭するという好循環も生まれています。

課題図書を明示してもらったことで、学ぶべきことが“見える化”できたことも良かったです。どんなことでも、“何を知らないのかを知る”ことで、ワンステップ、ツーステップ進化できると考えています。今回、ファイナンスについてはその段階へ最短で導いてもらえたと感じています。今後、何を勉強すればよいのか、更に学びを深めるためには何を学べばよいのか、
視覚化・定量化できたことが大きいです。

個々が学びを深めることや実務への応用は、これからの課題として引き続き取り組んでいきます。

5. 株式会社TAIANの事業の現状と展望


—- 貴社の事業についてもお聞かせください。

主力事業であるAll in One婚礼システム「Oiwaii(オイワイー)」の売上は順調に推移しており、顧客数・単価ともに堅調に伸びています。今後の見通しも良好です。

ターゲットとなる顧客は、主にブライダルを企画・運営する企業です。この業界は「知っている人から買いたい」という風潮が強いのですが、創業から5年が経ち、業界内でほぼほぼ人脈を築くことができました。あとはお客様のシステム導入のタイミング次第だと考えています。

また、「Oiwaii」には新機能の追加を継続的に行っており、これにより顧客単価のさらなる上昇も見込めると考えています。

—- ブライダル業界全体についてはどう見ていらっしゃいますか?

ブライダル業界には「逆風」というイメージが強くつきすぎていると感じています。実際、ベンチャーキャピタルの中には、「ブライダル関連」という理由だけで投資対象と見なさないところもあります。

しかしその一方で、新規参入が少ないため競争の激化を心配する必要がなく、業界を変革する余地が大いに残されています。私たちは、この業界を変えていく覚悟を持っています。業界全体のイメージを刷新し、評価(バリュエーション)を高めていくことを目指しています。

前職でエンジニアのHR領域に従事していた経験から、トップクラスのエンジニアたちは皆、Googleなどのトップティア企業に就職していく様子を目の当たりにしました。一方で、IT化が遅れている業界には優秀なエンジニアが集まりづらく、結果としてIT化がさらに遅れるという悪循環が生じています。私たちは企業とエンジニアリングの間に立ち、懸け橋になることで、ブライダル業界のIT化を進めていきたいと考えています。

また、業界商材である結婚式は社会的意義のある文化です。「お祝いする文化」は人々と社会を繋ぐ装置のような役割を果たしているからです。しかし、IT化が遅れることで「結婚式は面倒」「体験が前時代的」という印象を与え、ユーザーに敬遠されるケースが増えてきています。業界がこの課題を認識していないがゆえに、機会が減少し、この文化自体が衰退するリスクすらあります。こうした現状を打破し、ブライダル業界をIT化の恩恵を享受できる業界に変革することが、私たちが目指すところです。この業界の可能性を再発見し、多くの人に新しい価値を届けられるよう尽力していきます。

—- ブライダル業界におけるAI活用の可能性について具体的に教えてください。

ブライダル業界におけるAI活用の可能性については、特にプランニングの効率化に大きな可能性があると考えています。過去のプランアイディアをデータベース化しAIに学習させることで、より効率的かつ効果的なプランニングが可能になります。

アイディアを生み出すだけではなく、事務作業への活用も期待できます。
例えば、多くの企業では結婚式の進行表をエクセルで一から作成していますが、AIを活用すれば進行表を一瞬で作成することが可能です。こうして生まれた時間を、カップルの意向に沿ったアイディアを考えたり、より個性あふれるプランを生み出したりするために活用できるようになります。

AIを活用することで、効率化だけでなく、プランナーが本来の業務へ集中でき、より心のこもった温かみのある挙式を実現できるという点に注目していただきたいです。

新規事業への挑戦


—- 新規事業についても教えてください。

「心が通う“つながり”を増やす」という我々のミッションから外れることは行いません。現在進めているのは、法人向けのバンケット(宴会)事業です。

この事業は、既存顧客(ブライダル関連企業)、新規顧客(一般法人)、そして当社の三者すべてが満足できるモデルであると考えています。

既存顧客にとっては、設備の稼働率が向上するというメリットがあります。一方、新規顧客となる法人には、会場探しの手間を省くことで業務の効率化に貢献するだけでなく、伴走型のサポートを通じて社員のリーダーシップ育成にも寄与できると考えています。また、弊社の既存事業で培ったオペレーションのノウハウは、この新事業においても大きな強みとなり、優位性を発揮できると確信しています。特に、パーティプランニングの豊富なノウハウを活かすことで、高品質なサービスの提供が可能です。

新規事業の新規顧客開拓活動においては、一般的なウェブマーケティングの活用が効果的だと見込んでいます。この手法を通じて効率的に顧客獲得を進めていき、早期に既存顧客とマッチングさせ事業を立ち上げていきたいと考えています。

—- 「Oiwaii」やWeb招待状・席次表「Concept Marry(コンセプトマリー)」は主に法人が対象のサービスですが、個人向けのサービスについても考えていらっしゃいますか?

はい、個人向けサービスの立ち上げも計画しており、現在調査を進めています。近い将来、具体的な内容を発表できる見込みです。

6. 最後に

今回の「攻めのファイナンス講座」を通じて、TAIANはファイナンスを経営の共通言語とし、より戦略的な意思決定を実現できる組織へと進化しました。A Tech Venturesにとっても、スタートアップの学びのプロセスを深く理解し、より実践的な支援を提供する貴重な機会となりました。A Tech Venturesは、これからも「攻めのファイナンス」を通じて、スタートアップがより大きな成長を遂げられるよう伴走していきます。