【セミナー #7】株式会社Sparty 深山陽介 氏の起業ストーリー 〜行動と想いがブランドを創る〜

2021

千葉大学ベンチャービジネスマネジメントの講座(VBM)では、著名な経営者・起業家・ビジネスパーソンに登壇いただき、起業やキャリア戦略等についてお話しいただいています。

2021年11月24日(#7)は、パーソナライズシャンプー等のD2Cブランドを展開する、株式会社Sparty 代表取締役 深山陽介 氏をお招きし、起業当初から売上55億円(2021年6月時点)を達成するまでの経緯をお話し頂きました。

当日のセミナーの様子をお届けします。

■深山陽介氏の「ブランド創出の軌跡」

深山氏の自己紹介・会社紹介から始まりました。

株式会社Spartyは「パーソナライズ」を基軸に、あらゆる領域で事業を展開されています。

なぜパーソナライズを基軸にしているかというと、これまで「みんなが同じ物を選ぶ“マスの時代”」から「みんなが評判で選ぶ“ブランドの時代”」へと変化し、令和時代は「みんなが自分で作る“パーソナライズの時代”」になると考えるからです。

ブランドラインナップとして、パーソナライズシャンプーの「MEDULLA」、パーソナライズスキンケアの「HOTARU Personalized」、パーソナライズインナーケアの「Waitless」を展開しています(2021年11月時点)。

次いで、起業から現在に至るまでの経緯をお話しされました。

「Phase1の暗黒時代」として、大企業を退職後から起業のテーマを決めるまでの時期についてお話し頂きました。前職を退職した当初、起業のテーマが全く決まっておらず、どんどんお金が無くなっていく体験をされます。書籍「7日間起業」を読み「まずはローンチしよう」と、コストほぼ0でサービスをいくつかローンチしたそうです。

サービスアイデアを100個書き出した結果、パーソナライズシャンプーに辿り着きました。後に共同創業者となる榊原氏に紙1枚にまとめた事業内容を見せ、「パーソナライズシャンプーをやりたい」と伝えたそうです。

「Phase2の混沌時代」では、スポットのコンサルティングに50万円ほど投じたり、サービスローンチ直前にエンジニアに逃亡されたり、発表会の15分前まで決済機能の実装が出来ていなかったという裏話もお話しいただきました。

「Phase3の地獄時代」では、サービスローンチ後、OEMをしている工場の化粧品製造許可証が偽造されていたことが発覚します。突然の商品全回収、そして残り1週間でキャッシュアウトという状況に陥り、エンジェル投資家や事業会社(株主)、他のOEM会社など、沢山の人に助けられながら乗り越えた経緯を話されました。

深山氏は「プランを練ることも大事だけど、いかに動き続けて、人に助けてもらえるかが大事」と語りました。

■事業が上手くいかない時の選択

これまでの歩みをお話し頂いた後は、セミナー参加者とのディスカッションタイムを用意しました。参加者からは多数の質問が寄せられました。(以下、敬称略)

ー参加者:会社を辞めて、また別の会社に入るという選択肢もあったと思うのですが、自分の中の区切りとして「ここまで来たら会社員に戻ろう」と考えていたことはありますか?

ー深山:決めてなかったと言ったら、嘘になりますね、その時自分は結婚していたので。本当に事業が立ち行かなくなった時は、キャッシュが尽きるまでやろうと思っていました。

あと、「いつか自分にもリターンは来るはず」と思えるか思えないかという点でも、自分が株を持っているかどうかは凄く重要だと思いますね。

ー参加者:「上手くいかなかった時、注目されるためにピッチイベントに沢山出た」という起業家の方も過去のセミナーではいたのですが、深山さんはいかがでしたか?

ー深山:ローンチした後ピッチコンテストに出て、ポジティブだったのはICCとB Dash Campでしたが、両方とも準優勝という結果でした。そこで興味を持って頂けた、というのはありました。最初はよほど自分のビジネスに自信を持っていない限り、ピッチイベントに出た方が良いと思います。

■熱い想いと巧みな戦略

ー参加者:深山社長の想いが溢れ出ているように感じました。凄く面白かったです。普段からそうなのでしょうか?また、共同創業者がいる場合に陰と陽でバランスを取るイメージなのですが、お二人の関係性はいかがでしょうか?

ー深山:最初はこんな風に講演とか、全然出来なかったです。事業が成長すると、人は成長するものですね。

役割分担という意味で凄く良かったのは二つあって、一つは、どちらかというと自分が攻めのタイプで、もう一人(共同創業者の榊原氏)が守りのタイプだったので、そこの役割分担が明確に出来たということですね。

あとは、起業すると大体揉めるんですよ。揉める時は人として揉めているのか、事業アイデアとして揉めているのか、二種類あると思っています。(榊原氏とは)ベースとして人間関係があったので、変な揉め方をしなかったのは良かったですね。

ー参加者:シャンプーがとても有名で、「MEDULLA」という会社さんだと思っていたくらいです。何かブランディング戦略があったのでしょうか?

ー深山:年明け(2022年1月)にシャンプーもスキンケアも連動してテレビCMを打つ予定なので、その認知は外していきたいなと思っています。

PRで言うと、「シャンプーの会社」とも「テクノロジーの会社」とも言われるのですが、この二つだとPRの仕方が凄く変わるんですよね。

テスラ社を「車屋」というのか「テックカンパニー」というのかでバリュエーションが変わるように、投資家の方にどう見せるのか、世の中にどう出していくのかって凄く大事だと思います。

その他にも深山氏には、なぜシャンプーを事業として選んだのか、大企業(前職)の看板が外れて0になった時に誰が助けてくれたのか、起業のリアルな話を教えて頂きました。

事業を伸ばす過程での困難やそこで得た体験談は、それを経験したからこその重みのある言葉でした。前職を退職したばかりの時の深山氏と同様に、「起業はしたいけど事業アイデアは無い」という人も間違いなくヒントを得られるセミナーでした。

■登壇者プロフィール

株式会社Sparty

代表取締役 深山陽介 氏

1988年千葉県生まれ。慶應義塾大学理工学部卒業後、株式会社博報堂に新卒入社。大手通信会社の営業職を経て、数多くのクライアントのデジタルマーケティング戦略策定に従事。2017年5月に退職し、株式会社Spartyを創業 。“色気のある時代を創ろう”をミッションに掲げ、美容とテクノロジーの融合により、誰でも・簡単に、自分に合った商品を生産/販売/利用できるインフラの構築を目指している。

■終わりに

今回は、株式会社Sparty 代表取締役 深山陽介 氏に登壇頂いた際のセミナーの様子をお届けしました。

今後もアントレプレー教育の一環として、ベンチャービジネスマネジメントの講座(VBM)に登壇いただく予定です。著名な経営者・起業家・ビジネスパーソンから、起業やキャリア戦略等についてお話いただきます。